2000年9月 今月の印象に残ったワイン


私がホームページを作ったのが95年ですから、もうそれから5年になります。インターネットの世界で5年前と言えば、既に大昔の事になると思いますが、ホームページを書いている側としては殆ど変わっていないんですね。ずっと同じMacでやってますし、HTMLは相変わらずエディタで書いていますし、使用ハードもソフトもずっと同じ物を使っています。(加えて、暫く変えるつもりもない)

ただ、ワインの世界は本当に随分変わりました。Webを立ち上げたときからこのワインのページは有りましたし、大半のページはそれから2年位で書いたものです。それらを今日自分で読み返してみる度に、書いてせいぜい4年ほどなのに、既に時勢に合っていない事に改めて変化の早さに驚きます。

本当なら、早急に書き直すべきなのでしょうが、どうも、手をつけるのが遅くなってしまっていまして申し訳有りません。メンテナンスって大変ですね。(新しいページを書く方が楽ですか、、)

先日、訳有って、R.パーカーのブルゴーニュ(日本語版)を手に取りましたのでちょっと読み直してみましたが、どうも古さは隠せません。最近聞かないドメーヌがあったり、逆に最近有名なドメーヌが無かったり、今と当時の評価が全然違っていたり、、と。私はこの本を東京で見つけて買って、すぐ喫茶店で読んだときのことを、つい最近の様に憶えて居るんですけどねぇ、、酸性化の影響でしょう、紙も端の方が既に茶色に変色しています。

ボルドーとて同じです。この数年で有名シャトーの所有者変更が幾つ有りましたでしょうか?、それに伴って評価も上がったり下がったり、プチシャトーの華々しい台頭もありますし、随分変わりました。

その他の地区は?、それこそその変化の話題には事欠かないでしょう。何だかこうやってインターネットを使っている環境より、ワインの世界の方がずっと変化が激しいように思います。

日本でのワインブームは既に去ったと言われていますが、これからも世界のワインの状況はダイナミックに変化して行く様に思います。何時までも目が離せません。だから面白いですね。




Flaccianello 1993
Azienda Agricola Fontodi

フラッチャネッロは大変評判の良いVDT。この前飲んだフォントディのキャンティが、素晴らしく美味しかったので、同じ作り手のこのフラッチャネッロを開けてみました。こちらはサンジョベーゼ100%のワインです。

でも、悪くは無いのですが、ヴィンテージのせいか、今一つぱっとしないワインでした。




Clos de Vougeot 1988
Dom. Leroy

随分と前に買ったワイン。その時代にはルロアのクロ・ド・ヴジョも今と比べればかなり安かったです。ただワインは、それまで飲んだことが無いくらい全く素晴らしい。

何故かルロアの88でこれだけ蝋封になっていまして、買ったときからラベルには吹いて液漏れした跡が残っています(ラベル画像右上の、少々茶色になっているところです)。ボルドーのワインと違って、ブルゴーニュのワインは物によってはコルクから液面までが極端に少ない場合が多いです。聞いた話では、コルクを打った時点でワインが漏れてしまっているのもある由(本当かどうか不明ですが)。

ブルゴーニュはボルドーのシャトーのワインと違って、どうしても生産量の小さい作り手が多くなりますので、もっともな話です。その中でもルロアのワインは、少しでも温度変化が有ると簡単に吹いてしまう様に思うのは私だけでしょうか?

東京でルロアのワインを買って持って帰った事がほんの数度有りますが(何度も無い!)、徳島まで持って帰る途中で液漏れした事が2回も有ります(他の銘柄では一度もない)。ちょっとばかりショックですが、いきなり25度を超えたりとか言うそれほど酷い温度変化でも無いはずなので、まぁ大丈夫だろうと思っています。

そんな訳で、実はあまり気にしないようにしていましたが、それでも開けてみるまでは内心ドキドキです。

ワインは大変健全なのでとりあえずは一安心。それよりかこのワイン、開栓後、時が経つに従ってますます大きくなってゆくワインです。最初からクロ・ウジョと思えないほど大変濃密で集中力を持ったワインですが、時間が経てば経つほど柄が大きく、複雑さもアフターも広大になって行きます。凄い!。

このワイン開栓後デカンタせず、1時間少しで飲んでしまったと思うのですが、持って帰ったボトルにほんの少し残った澱の部分を翌日朝流しに捨てた時の、素晴らしく広がった甘く濃密な芳香には、正直吃驚しました。

90以降のルロアの赤ワインって、とても高価で、そう言う訳で私は1本も持っていませんが、こういうワインなのでしたら、高いのも仕方ないかな、ともつい思ってしまいました。




Turley Petite Syrah Aida Vineyard 1995

有名なターレーセラーのワインです。ターレーはジンファンデルとプティ・シラーを作っていますが(それぞれに単一畑銘柄が沢山あります)、どうもジンファンデルは昔からどうもダメなので(グラス1杯以上はちょっと飲めない)、プティ・シラーの方を買ってしまいました。

ターレーのワインは、ワイナリーからのリリース価格はそう高くないのですが、私はとあるオークションで買ったので、配送費等々含めると1万5千円くらいについてしまいました。もし正規ルートで日本で売っていれば数千円でしょう。たまにリストで見かけますが、限定何本かで、なかなか買えませんね。

私はこの手の超特濃ワインを少々苦手としているのですが、そこは好奇心と言う奴で買ってみました。ただ、一人ではとても開ける勇気が無いので、今回は知り合いの方数人で飲みました。

以前誰かがターレーのプティ・シラーを、「殆ど葡萄ジュース」と表現しているのを読みましたが、それは違いますね。まず、こんな濃い葡萄ジュースは有りません!、色はワイン色と言うよりは、むしろどす黒いです。置いておくと何か沈殿するんじゃないかと思うくらい、まぁ本当に濃いワインです。ですが、濃くって嫌になるようなワインで無いところが、やはりなかなか素晴らしいです。

先の「葡萄ジュース」と言う表現は二重の意味で間違っていまして、私の感じでは、それでもちゃんとワインしています。ジュースよりは遙かにワインに近いです(当たり前ですが)。最初こんなの飲めるかな、と思いましたが、ちゃんと四人で一本すぐ空けてしまいましたから、、

でも、このワインの飲み頃予想と、熟成の道程を誰か教えていただけないでしょうか?、例えば20年位熟成させた時、どんなワインになるのでしょうか?、私には全く想像も出来ません。(そもそも熟成は必要なんだろうか?)




Ch. Palmer 1979

美味しい、本当にマルゴーらしい愛らしくエレガントですぐれたフィネスをもった良いパルメです。パルメは良いワインですね。あまり外した記憶が有りません。

とても良く熟成していて、開栓後すぐデカンタして既に全開。充分熟成しているので、柔らかくあるのですがマルゴーらしい気品がちゃんとあって、良いワインです。

開栓してすぐが一番良くって、次第に余韻も短くなってしまうので、もう飲んでしまわないといけないワインでしたが、そう言う意味では今飲めて幸せでした。




Vosne Romanee "Les Gaudichots" 1988
Thierry Vigot-Battault

9月も終わり頃、やっと涼しくなってきまして、そしてやっとブルゴーニュワインを飲む気になってきました。夏の間飲まなかった反動か、あとブルゴーニュが10月にわたって何本か続きます。

最初はずっと昔に一度書いたこともある、レ・ゴーディショです。久しぶりに開けてみました。相変わらずこのラベルはどーやっても綺麗にスキャン出来ません。見づらくてすいません。

前にも書きましたが、ヴォーヌロマネのレ・ゴーディショと言う畑は、現在タ・ターシェに張り付いたような形の小区間です。「xiphioのワインガイド」の中の「(細かい事だけど)役に立つワイン知識」からヴォーヌロマネ村の畑の地図を見て下さい。

この地図は「フランスワイン大全」を見て書いたのですが、レ・ゴーディショの畑の場所は、見る地図によって何だかちょっと違うようです。

変な事に幾つかに分かれてラ・ターシェにくっついていますが、今のラ・ターシェのかなりの部分は元々はゴーディショであったらしいです。それがラ・ターシェに組み込まれてしまって、何故か残った小さな各部分が現在もレ・ゴーディショとして残っています。

ご覧のように大変小さい区間なので生産量は少ない筈、大変入手難でしょうね。私もこれを買って以来見たことが有りません。生産者はこのヴィゴの他に、もう一つ有る様な事を以前どこかで読んだ気がしますが、確認できませんでした。

実は過去に2回飲んでいますが、感想が一定していなくて困ります。分かりやすく書けば x o x となります(何だか人の顔みたい)。総体的な感じは、タンニンが感じられしっかりとしてはいますが、果実味がすでに失せています。それが、元々の作りなのか、私の手元に来るまでの経路が悪かったのかどうかは、良く分かりません。(その両方のような気がする)




Gevrey Chambertin 1er cru 1992
Claude Dugat

最近ではあまり買えなくなった(価格面でも)、クロード・デュガのワインです。このころは簡単に、そう高くなく、買えました。(ちなみに、このワインは94年春で3900円)

92という恵まれない年でありながら、まだ果実味が充分で、それに引き出されるような香りも加わって、総じてチャーミングでとても魅力的です。深みもそこそこ感じられます。 92のそれも単なるプルミエ・クリュですが、さすがC.デュガって所でしょうか。

しかしちょっと見方を変えると、何かあって、もしその「そこそこの深み」が少しでも無くなってしまうと、USAピノと大して変わりがなくなってしまう様に思うのですが、、、やはりそこはグランクリュクラスでないと難しいのでしょうか。