2001年3月 今月の印象に残ったワイン


インターネットなどの情報網(所謂IT)が発達するに従って、物の買い方のほうも少しばかり変わって来ました。いろんな物の通信販売が多くなりましたね。

通信販売自体はずっと前から有った訳なのですが、昔は雑誌広告などを見て現金書留でお金を送り、品物を送ってもらのが普通でした。小さい頃、ラジオ雑誌の広告などをみて、電子部品やキットなどを色々買ったことがありましたっけ、、(昔はラジオ少年)。

現在は、インターネット上で手に入らない物は無いくらいに、いろんな物が買えます。本やCDの大規模なインターネット店舗が出来たのに続いて、酒屋さんとりわけワイン屋も随分増えました。実際インターネットでワインを買っている人も多いでしょうし、私も幾らか買った事があります。私のように地方在住の者には、とても有り難くもあります。

でもやはり、物によってその向き不向きはある様に思います。例えば、本の販売に関しては、インターネット経由が有る程度増えるものの、本屋さんが無くなるとは私にはちょっと思えません。

確かに欲しい洋書や中身の知れた本などを手に入れるには、インターネットが大変便利です。でも実際の本の買い方のなかで、そう言うのは比較的少ないのでは無いでしょうか。たいていは興味のあるコーナーに行って、ざっとタイトルを眺めて、気を惹く本を見つけたら手に取って、次にざっと中身を見てみて、、ってことになりますよね。

ここの、実際に手に取ってみて、と言うのが大切で、皆経験があるように、タイトルが面白そうでも、中身をちらと見て気がそがれることはとても多いです。その内容ばかりでなく装丁が感じ悪かったり、紙が変だったり、字間がやたらあいていたり、、と、また逆にこんな本があるのかと、新たな発見があったりします。本好きの者にとっては、大阪のジュンク堂の様な巨大書店には、それこそ何とも言えない一種の「悦楽」が存在します。

要するに、たいがいの本は、中身を見たり、また書棚の中からの「発見」があってから、気を惹かれたのを買う物なで、インターネットで注文するには「確かに中身が知れている」物しか買えない、と言うことです。

でもCDなどになると事情はまたちょっと違いまして、お店に行ってもCDは(試聴ブースがあるお店もありますが)、普通一々中身を聞いてから買うという事をしません。結局は、雑誌などで色々な情報をかき集めるとか、自分の知識で予測するとか、後は「感」で買うとかです。私もLP時代はかなりな数のLPを「ジャケット買い」しました(馴れると、結構当たる物なんですけど)。

それでも実際に棚に並んでいる、数多くのCDからの、「発見」はあります。それだから、まだCDショップに行くのですね。

で、ワインは、と言えばどうでしょう。中身はお酒屋さんで買っても、普通は確かめられませんか。内容は開けて飲んでみないと確かめようもなく、やはり他からの情報と、自分の予測と、感が頼りです。廉価帯のワインでは知られていない物が多く、そのショップの方にアドヴァイスしてもらわないと分かりませんが、こと高級ワインを探しているなら、情報は雑誌や肥大するインターネットなど既にあるのです。

「ある種の発見」に関しても、そこらのワインショップのワインの数などたかが知れていますから、(同じく廉価なのは別ですが)そこでの新たな発見と言うのは、あまり期待できないのが普通です。(新たな情報は、雑誌とかで充填されますので)

こう考えると、高級ワインほどインターネット販売に向いている物品も珍しいのでは無いでしょうか。事実ワインを売っている所は、凄く増えました。品揃えは言うまでもなく圧倒的です。街場の酒屋さんは依然と残るものの、プレミアムクラスになるほど、通販の比率は高まるでしょう。




Clos de Tart 1988
Mommessin

クロ・ド・タールは、ブルゴーニュ特級にしては大変珍しいモノポール(単一所有者の畑)ですね。

えっと、あとはロマネ・コンティとラ・ターシェとラ・ロマネとグラン・ラ・リュウ位でしょうか?(皆ヴォーヌ・ロマネですね)、他に有りましたっけ??。もしかしたら、ブルゴーニュ特級のなかでは、一番大きいモノポールかも知れません。(すいません確認していません、間違ってたらごめんなさい)

このワイン、期待した割には今一印象に残っていないワインなのです(表題と違ってしまいますね)。ちょっと弱含みって所で88にしては期待外れですが、よく考えると最近88を少しずつ飲み始めていますが、実際飲んだ感じでは88のブルゴーニュってそれほど良いイメージないです。(83ほどでは無いのですが)




Ch. Cheval Blanc 1982

シュバルブランの82と言えば、それはもう巷ではたいそう有名なワインです。だいたい82ボルドー1級シャトー物(とそれと同格扱いのワイン)は、なべて素晴らしいらしいのですが、その中でもシュバルブラン82は、「特別おいしい」と評判です。

最初から評判は良かったので、昔でも高かったですが、それでも2万円弱で買えていました。今だと随分と高いみたいですね。90年位から既に今飲んで素晴らしいワインと言われてましたが、もったいないので(?)飲めないでいました。

流石に、そろそろ飲んでも良いかなぁ、と思い、昨年秋にシュバルブラン好きの友人が来たときに開けようと思いましたが、「・・そんなのいらない」と言われ(彼は何度も飲んだ様だ、それで、代わりに59のシュバルになった)、それ以降ボトルを立てておいていたワインです。

初めて飲んだシュバル82は、まったく噂に違わぬ美味しさです。その中身は、どういったってシュバルブラン、ちょっとエキゾチックで豊かで、かつとても深淵。飲みながら、こういうワインはシュバル以外には無いよなぁ、とも思うのですが、(ブラインドで当たるとは思えませんけど)

ボルドーでは、各シャトーにちゃんとある種のスタイルがあって、一番良い出来の年のワインは、やはりそのスタイルの典型となりますね。ボルドーはスタイルのワインって気がします。




Ch. Gazin 1975

私自身としては、75のポムロルはなべて大変素晴らしいと思っていますので、有る程度の期待は有ったのですが、それを上回る素晴らしいワインでした!。

後で、各評論を見てみましたが、この時期のガザンは評判がぜんぜん良く無くって、それからすると驚愕のワインでもあります。

この75のガザンは熟成したメルロ主体のワインの、各美質が存分に現れた、優美でしなやかながら深みをたたえた、大変魅力的な素晴らしいワインでした。ひょっとしたら今年で一番?、上のシュバル82は?、それもとても美味しいけどこちらがずっと素敵よ、、って感じです。

ワインって楽しい!!(お金もかかるけど)




Ch. Lagrange 1990

近くのスーパーで売っていたワインです。ワインブームに華やかかりし頃、こんな地方のスーパーの酒売場も、結構ワインをおいてありました。当時はこのクラスのワインも結構置いてありまして、びっくりして買ってしまいました。(と言っても5千円位でしたけど)

今も売場の広さはそう変わりませんが、価格帯がずっと下がりまして、3千円以上のものはまずありません。当然ボルドーの格付け物などはないですね。

まだ濃い赤が印象的なワインでした。当然もう飲めますが、とても元気な感じでまだまだ熟成させた方が良いかも知れません。90とは言え、なかなか大柄なワインです。その分繊細さや広がりが無いように思いましたが、充分に熟成すると良くなりそうです。




Ch. Haut Brion 1970

このボトル、コルクがちょっとディプレスしていまして(コルクが持ち上がっている)、ちょっと怪しいボトル。ディプレスしているのは、急に暑い環境に置かれた証拠ですから。

デカンタ中もあまり香りが立たず、(?)と思ったのですが、最初のテイストはまとも、あまり痛んだ様子はありませんでした。香りはやはりクローズドで、ちょっと舌の端の方にタンニンが当たる感じで、それが熱の影響かなともおもいました。

でも15、20分すると少し香りも開いてきて、オーブリオンらしい、こうアーシーな感じ、私の好みです。やはりオーブリオン(熟成した)は良いです。鑑定的には傷が有るのかも知れませんが、私には充分素晴らしいワインです。