1998年10月 今月の印象に残ったワイン


フランスの高級ワイン、特にボルドーの値上がりは、日本では更に続いている感じでして、私の回りでは、まぁ特にボルドーは、あまり買っている人は居ないと思います。加えて、話題になることもあまりないですねぇ、、

かわりに、イタリアとかカルフォルニアとかスペインのワインが、話題になる事がとても多いです。イタリアワインもカルフォルニアワインも値上がりは激しいですが、作り手も多く、ワイン自体が非常にヴァラエティに富んでいるので、知り始めると興味が更に増してくる感じで、ついついはまってしまいます。

そんな中、今年(1998年)10月にイタリアに行くことになりました。ツアーでは無く、マイレージのタダ券が期限ぎりぎりで貰えたからです(今年中に行かないと、一部の期限が切れる)。イタリアにした理由は、インターネットで知り合ってもう長くmailを交換している友人が居て会いたかった事と、丁度知り合いの日本人の友人も居るからです。

旅行は約1週間、主にトスカナとクレモナに行きました。トスカナでは、葡萄畑やワイン醸造所を幾つか訪問してきました。報告を書きましたので、良かったら見て下さい。

所で、今月飲んだワインですが、その旅行の為にそれ以外ではあまり飲んでいません。また旅行中も、むこうの友人と一緒か、後は一人だったため、「有名レストランに行って高いワインを飲みまくる」って事も一度も有りませんでした。結構ワインは飲みましたが、皆安いのばかりです(でも美味しかった)、食事もまぁそこそこの所で済ませました。そう言う意味では、「大変つつましやか」でしたね。


今回のイタリア旅行で、一番印象に残ったワインは、キャンティに住んでいる知り合いの奥さん(イタリア人)の、おじいちゃんとおばあちゃんの家に挨拶に行ったとき、戴いたキャンティ(多分1997)です。

キャンティの田舎のお家にお邪魔したらすぐ、「じゃ、キャンティをどうぞ」と、昔よく見かけた麦藁で包んだキャンティ特有の形状のボトル(フィアスコ)の大きな(多分)ダブルマグナム瓶と、粗末なガラスコップが出てきました。

このキャンティはおじいちゃんの仕事の報酬の一部として貰うらしく、その瓶に入れただけで、恐らく元々ボトリングなどされていないのかもしれません。ワイングラスなどは無く、コップに入れてくれました。全く生活の中のワインです。

開栓後して数日は経っていますから、当然のごとく酸化の影響をうけています。ですが、その場でコップで飲んだそのワインは、その場の和やかな雰囲気とあいまって非常に印象的でした。ワインはその産地ではこうして飲まれているのですね。




Chambertin 1985
Louis Trapet

先月だったか、同じ作り手、同じヴィンテージのラトリシエール・シャンベルタンを開けましたが、かなりへたっているワインでして(経路も悪かったのでしょう)、こちらはまだ開けるつもりは無かったのですが、急遽飲むことにしたワインです。

先に飲んだラトリシエールと同様な傾向はあるものの、遙かにしっかりしたワインで、最初の揮発性の香りが飛んでしまった後は、とても美味しかったです。やはり「テロワールの違い」なんでしょうか。




Ch. Sociando-Mallet 1986

このワインもずいぶんと長い間(10年近く)私の所に在ったワインです。私が買った頃は、(多分)パーカーさんが評価していた以外は、あまり知られていなかったワインですが、ここ数年、あっという間に有名になってしまいましたね。(価格もそれなりになってしまった)

しかし本当のところは、「ここ数年で急に品質が良くなった」のでは無く、「ここ数年で急に有名になった」だけで、品質が良いのは暫く前から良くなってきたのです。ワインは、畑と葡萄の木の栽培からなので、もともと充分潜在能力の有るところならば所有者の考えでいきなり良いワインを産する事もありましょうが、何年か(若しくは十数年)はかかるのが普通ですし、その評価を受けるのもそれ以上に時間がかかっていました。

過去の例では、一般的な評価はどうしても、かなり遅れてしまうのが常なんですが、最近は情報が早くて、「誰々が作っている」とか「誰々がコンサルタントしている」と言う事だけで、いきなり注目を浴びてしまう例も多いですね。

さて、このソシアンド・マレですが、「12年、まぁ、もう飲んでも良いだろう」と開けたのですが、これが若い!、堅い!。大昔に買ったワインなので、数年間はセラーに入れていない状態での保存だったのですが。

開栓して飲み始めてから、このワインの評論を読んでみましたが、概ね「飲み頃はまだ先」とあります(パーカーさんの本では、飲み頃は2005年からとある)ので、86のソシアンド・マレは全体的にこんな感じなんですね。

色も濃いパープル、86と言うことを考えると色からしてびっくりします。堅く締まったていて、タンニンとスパイシーなオークが印象的です。私の感覚では、全然開いていません。ここまで置いてあったのだから、パーカーさんの言う2005年まで、もう少し待てば良かったかも知れません。その時どの様になっているかは予測できませんが、、